入浴の流れ

 

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入浴の流れを示した絵カードです。なお、動詞「入る」を示す絵は3番の片足を湯船につけているものです。4番をイメージして、「お風呂に入っているところです」と紹介することがあるようですが、「入る」は継続動詞ではないので文法上使用不可です。「部屋に入っているところです」などは言えませんからね。

しかし、「お風呂に入っているところです」に違和感を覚えない方が多いのも事実です。「お風呂に入る」を継続的な動作として捉えてしまうのは、日本人がそれを一連の流れとして見ているからだと考えられます。

他の先生と話して、「浴室に入る、体を洗う、湯船に浸かる、しばらくして出る…」「脱衣所で脱ぎ始めたところも含むのではないか」と話は膨らみました(笑)純粋に「浴槽に入る」だけが「お風呂に入る」の意味ではないということです。そういうわけで、この絵を描いてみました。この1~5の絵の流れ全体で「お風呂に入る」という行為なのではないでしょうか。

なお、「風呂」という語自体も、単なる「浴槽」「風呂桶」という設備の意味だけではなく、「入浴すること」「浴室」「洗湯・風呂屋」という意味を持っています。

繰り返しになりますが、「入る」という動詞は継続動詞ではありません。ですから、「入っているところです」や「入りながら」というのは文法的には言えません(スローモーションになってしまいます…)。

ただし、文法的には不可だけど、慣用表現としては可なのかな~と思っています。わりと普通に使われているでしょう。教師としては、これを例文として出すかどうか、きちんと見極める必要があると思います。

文法と「死ぬ」という語:安易に使えないけど必要な理由

「死ぬ」って言葉はあまり使いたくない

親は子に「簡単に死ぬなんて言葉、使っちゃいけません」と言ってたしなめます。しかし、テレビ番組や映画からは「死ね!!」などの言葉が聞こえる日は少なくない…。「死ぬ」という言葉はあまり使わず、別の表現に言い換えたりします。「亡くなる」「あの世へ逝く」「ご逝去」などなど…。

しかし、日本語の教科書では、わりと初期に出てきます!!

1グループ(5段動詞)で「~ぬ」で終わる動詞って…

普通形を導入したり、その後の活用を練習するときに動詞が必要になります。例となる語を見て、書いて、言って、定着をはかるためです。それは至極当然のこと。

さて、1グループの動詞を列挙してみます。

聞く・書く…
泳ぐ・脱ぐ…
話す・貸す…
待つ・持つ…
死ぬ・  …Σ(´・ω・`)
呼ぶ・飛ぶ…
読む・踏む…
切る・知る…
買う・会う…

だいたい2つ以上の語がパパっと思い浮かびます。しかし、「~ぬ」はなかなか見つからない。(^ω^;)…というか、ない?!?!けれど、この「~ぬ」タイプを除くことはできません。動詞「死ぬ」と出会ったとき困るので…。

(´・д・) 活用のパターンは、「~む」「~ぶ」「~ぬ」は同じ!!と、例を出さずにくくってしまうことはやっぱり強行すぎますよね…。けど、結局「死ぬ」でしか「~ぬ」は練習できないのです。

*補足*

【ぬ 動詞】で検索すると、同じようなことを疑問に思う内容が出てきました。もう1つありました。「往ぬ(いぬ)」です(意味は「去る」)。これは古語です。現代語を扱う日本語教育においては、まず必要ありません。古語で「ナ行変格活用」というのがあり、「死ぬ」「往ぬ」が2語だけが該当します。「死ぬ」はそれが五段活用に収まり、「往ぬ」は使われなくなったのでしょう。そうすると、やっぱり「~ぬ」の動詞は「死ぬ」1語となりますね。

「死ぬ」と文法

割りと早い段階から「死ぬ」という不穏な語に接してしまうことになります。だから、教室での教師はピシッとせねばなりません!!(`・ω・´)

「死ぬ」と関係すると「文法的に正しいけど…」となる文法

・~てください 「死んでください」「死んで」
・~ませんか  「死にませんか」
・~ましょう  「死にましょう」
・命令形    「死ね」
・意志形    「死のう」

主に他者に働きかけたりするものですね。もちろん子どもたちに教えていたら、冒頭の母親のように注意するでしょう。いい大人に教えているときは、私からこれらの表現は言いませんが、学生が気づいて、冗談として練習中に言ってきた場合に、若干ニヤニヤしてしまいます。

「死んでください」が冗談だとわかっているなら、「そんなこと、言わないでください!!」と返して、さらに盛り上げます。別に教えることを推奨しているわけではありませんが、本気じゃないかどうかぐらい雰囲気から読み取れるかと思います。

可能形と「ら抜き言葉」

“帰れる”は「ら抜き言葉」ではない

「ら抜き言葉」は日常生活では許容していますが、仕事柄あまり使わないようにしています。

先日、ネットのお悩み相談やQAサイトを見ていたときのことです。

「帰られる」

文脈はよく覚えていませんが、内容から「可能」の意味で使っているとわかりました。

a. 私は17時には家へ帰られません。残業が終わり次第といったところです。
b.(会社で)鈴木部長はもう帰られましたよ。
c.(病院で)薬を渡す前に、患者に帰られてしまった。

例としてはこんなかんじです。「帰れません」が正しい可能形ですよね。「帰られる」は、bの「尊敬」か、cの「受身」の場合は良いです。( ・ω・)「ら抜き言葉」の弊害か…。

グループ分けで違いを見比べる

1グループで「○○-る」の形をとる動詞は、「可能形」の場合、ら抜き言葉に見えますが、ら抜きではなく正しい形です。

帰る → 帰れる
作る → 作れる
操る → 操れる

一方、「受身形」「尊敬形」の場合は、こうなります。

帰る → 帰られる
作る → 作られる
操る → 操られる

1グループのその他の動詞はどうでしょうか。(「可能形」/「受身形」「尊敬形」)

歌う → 歌える/歌われる
引く → 引ける/引かれる
話す → 話せる/話される
待つ → 待てる/待たれる
死ぬ → 死ねる/死なれる
結ぶ → 結べる/結ばれる
読む → 読める/読まれる

当然、ルールはあります。「○○-る」が特殊とかそういうことはありません。「可能形」は[-eru]、「受身形」「尊敬形」は[-areru]が付くということです。

続いて、2グループと3グループです。(「可能形」/「受身形」「尊敬形」)

借りる → 借りられる/借りられる
起きる → 起きられる/起きられる
変える → 変えられる/変えられる

来る  → 来られる/来られる
する  → できる/される

「可能形」、「受身形」、「尊敬形」がいずれも同じ形になります。(「する」は例外です)ここで「可能形」に、ら抜き言葉が生じます。

借りる → 借りれる
起きる → 起きれる
変える → 変えれる
来る  → 来れる

まとめると以下のとおりです。

「可能形」において…

  • 2グループの動詞と3グループの「来る」:本来『ら』があるべきものだが、脱落して「ら抜き言葉」になる
  • 1グループの「○○-る」タイプの動詞:もともと『ら』は入っていないので、脱落したものでも何でもない

共通点が「○○-る」の形であるがゆえに、混乱が生じてしまうわけです。言葉の乱れが言葉の乱れを引き起こしてしまっているように感じました。日本語を教えるときも、普通形が導入されて、1グループの「○○-る」タイプと2グループで、混乱する人がいます。普通形(肯定)の形が似ていますからね~。活用の仕方が違うとしか言えないかな…?いくつか活用したものを示すと、違いがあることと規則性は見て取れますね。

普通形で留意すること(3) 間違えやすいもの

動詞を見てグループを間違えやすいもの

初級が終わっても、意外と普通形がスムーズに言えないものを発見しました。

φ(..) …友達をはげてあげました。
( ・ω・)? 髪の毛、なくなっちゃったの?

「励ます」を、ます形・2グループと勘違いしたようです。今回は普通形・ます形の間で間違えやすいものをご紹介したいと思います。

(1)「励まします」「禿げます」

ます形: 励まします[hagemas-imasu]/禿げます [hage-masu]
普通形: 励ます  [hagemas-u]  /禿げる  [hage-ru]

初中級ということもあり、普通形しか扱いませんでした。教科書の語彙リストも全部普通形だったので…。しかし、無垢な学習者(?)たちはマス形と勘違いしたようです。たしかに「励ます」をマス形ととらえると「はげ-ます」で2グループですね。でも、マス形「はげ-ます」は、頭の毛が無くなるほうです。そもそも、一緒に使う助詞が違うので文意は通らないのですが、注意したほうがいいですね。

他にも探してみました。幸いにも「励ます」以外に[emasu]の物はないので、そこまで心配しなくてもよさそうです。ほかに普通形で語末に「ます」がつくものは、「くらます」「冷ます」「覚ます」「だます」「増す」「持て余す」などです。

(2)マス形・1グループの動詞の「…します」

ます形:話します 消します / 勉強します 予習します
普通形:話す   消す   / 勉強する  予習する

「話します」を「話する」、「消します」を「消する」のように間違えることがあります。1グループであるのに、3グループと見なしてしまっているからです。(; ・`д・´) 気持ちはわからなくもないけど…。

「漢語+します」と言われても、「話+します」もそう見えてしまうので、仕方がないでしょう。1グループの語幹の確認、3グループの漢語部分が名詞であることなどからアプローチする感じですかね…。これといって教え方はないんですが、「この動詞はこのグループ」と明確に示したほうがいいタイプの動詞でしょう。

『みんなの日本語1』に出てくる、1グループの「…します」の動詞は以下のものです。

押します、思い出します、返します、貸します、消します、出します、直します、話します、回します

*みん日では「引っ越しします(3)」ですが、「引っ越します」は注意が必要です。

普通形で留意すること(2) あります

普通形を教えたあと…

普通形完了!!新出語彙があれば、動詞のグループにも言及!!\(^o^)/大丈夫だろう!!安易にそう考えていた時代がありました…。ということは、「大丈夫じゃなかった」わけで(笑)普通形を終えたあとも、ます形を使うこともあり、しばらく普通形と縁遠くなることもあります…。

「グループがわかれば、活用できるっしょ」 ←いいかげん。

そこに鬼門の動詞が登場!!「あります」です。

(1)「あります」

ます形:あります・ありません・ありました・ありませんでした
普通形:ある・ない・あった・なかった

「ない」が登場してきます。1グループのようで、1グループではないのです。「ある」「あった」は1グループの通りですが、「ない」「なかった」は…。

(;´Д`) 「あらない」「あらなかった」はダメ…。

「あら」は不要ってことですね。不思議…。

(2)「います」

ます形:います・いません・いました・いませんでした
普通形:いる・いない・いた・いなかった

一方、「います」のほうは、2グループそのものなので、それほど問題ないかと…。ただ、「ある」「いる」と並べてしまうと、1グループに間違えそうですね。

(3)「ないです」「いないです」

あります:ありません/ないです ありませんでした/なかったです
います :いません/いないです いませんでした/いなかったです

「~ません」が「~ない+です」。「~ませんでした」が「~なかったです」。動詞の言い方がイ形容詞のようになるのは最近の傾向らしいですね…。これは「あります」「います」に限らないことです。