だいじょばない収集

ナ形容詞である「大丈夫」が、五段動詞(1グループの動詞)のように活用する用例が最近散見されるようになってきました。

通常はナ形容詞ですので下記の活用になります。

だいじょうぶだ(肯定) → だいじょうぶではない(否定)

しかし、下記のようになる用例が見られます。「大丈夫」の「ぶ」は活用語尾ではないのですが…(^o^;)

だいじょうぶ(肯定) →  だいじょばない(否定)
あそぶ(肯定) → あそばない(否定)

見つけた「だいじょばない」(2018年~)

1)ヤマシタトモコ作『さんかく窓の外側は夜』(巻数忘れ)
三角が「いやもう全然だいじょばねぇよ」と言う。冷川は「じょば…?」と言葉をもらしている(笑)ちなみに、この漫画はとてもおもしろいホラー要素ありの漫画です。おすすめです。(^o^)

2)マーヴェラス西川の歌『DAIJYOUBU!』
Eテレの番組「天才てれびくん」に出てくる、T.M.Revolution演じるマーヴェラス西川の歌。たまたまEテレの録画で見かけました。ローマ字でわざわざ「DAIJYOUBANAI」という歌詞を出していました。言葉遣いにうるさそうなテレビ局なのに。

To be Continued.( ̄ー ̄)

「~の中」が必要なときとは?

「箱の中にいる」?「箱にいる」?

「ネコはどこにいますか」と聞かれて、上の絵のような状況だった場合、何と答えますか。直感的に、aです。

1)ネコはどこにいますか。
a. 箱の中にいます。
b. 箱にいます。

次の例はどうでしょうか。

2)C先生はどこにいますか。
a. 55教室の中にいます。
b. 55教室にいます。

直感的にはbです。ただ、aも場合によっては使うと思います。

「~の中」を付けたり付けなかったりするのはなぜなのか、という質問は昔からありました。それについて、詳しく見ていきたいと思います。

接続する名詞の性質から考える

「~に」「~の中に」の、「~」に入るのは名詞です。その名詞の性質によって、必要なとき、どちらでもいいときがあるのではないでしょうか。1)では「箱」、2)では「教室」です。

1.場所(範囲の決まった空間)を表す名詞の場合は、「~に」で十分。

2)「教室」が当てはまります。範囲が決まっているので、あえて「中」という表現を付ける必要はないのだと考えます。

3)この町に外国人がたくさんいる。

4)運動場にハードルがある。

5)図書館に古文書がある。

「『~に』で十分」と書いた理由は、「~の中に」が使用不可とは言えないからです。範囲の「中」であることを明確に示したい(強調している)感じになるでしょう。ただ、4)の場合、「運動場の中に」というのは、やや違和感があるような…。

6)この町の中にまだ犯人がいるはずだ。

この場合は、「外」ではないということで「中」とはっきり言いたいのではないでしょうか。

2.場所を表す名詞以外の場合は、「~の中に」を使ったほうがいい。

最初は、「箱」を「空間」として捉えられるのではないかと思っていました。1)の例で、「b.(ネコは)箱にいます」がなんとなくしっくり来ませんでした。

「箱にいる」と言われて、「中にいる」というのが通常働く推論です。そう思うので、別に「中」が無くてもいいと思うのでしょう。ただ、「箱にいる」だけだと、いまいちはっきりしないような気がします。極端な話、「上に載っている(=蓋の上にいる)」と思う方もいるかもしれません。位置の表現がないと、適切に伝わらない可能性があります。

次の「車」「落ち葉」の例も見てみましょう。

7)a. C先生は車にいます。/b. C先生は車の中にいます。

8)a. ??ペットのポチは落ち葉にいる。/b. ポチは落ち葉の中にいる。

「車」は「~に」だけで良いとしても、「落ち葉」では「~に」が言えません。「車」は、「箱」と同様、範囲が決まった空間に捉えやすいので、原則1に近いのでしょう。完全に場所とみなしにくい「落ち葉」では、「~に」だけでは存在場所がはっきりわかりません。位置の表現が必要になります。

特に「中」であることを示す必要がある場合

上で見た「箱」「車」と同様、「鞄」も空間と見なしやすいモノの一つだと思います。存在文以外でも考えてみると、「中」とつけることで、場所がより明白になります。

職務質問の場合を考えてみました。

9)警察官:鞄の中を見せてください。

警察官は持ち物検査をするので、中を見たいわけです。「鞄を見せてください」と言われただけで、中まで見せる市民もいるとは思います。しかし、悪い市民は屁理屈を捏ねて、「鞄(外側)を見せたじゃないか!」というかもしれません。屁理屈で言葉の使い方を考えるのはどうかと思われそうですが…。言いたいことは、「中」であることを「はっきり示す」ということです。

10)b.は、いつも注意しているにもかかわらず、まだちゃんと捨てない人に苛立って、「中に入れろ」と強く言いたい気持ちがあるように思います。いかがでしょうか。

10)a. 紙類はごみ箱に捨ててください。/b. 紙類はごみ箱の中に捨ててください。

通常は言われなくたって、ごみはごみ箱に入れるわけです。ですが、わざわざ「中に」ということは、そこには何らかの意味が含まれているのでしょう。

まとめ

1.場所(範囲の決まった空間)を表す名詞の場合は、「~に」で十分。

2.場所を表す名詞以外の場合は、「~の中に」を使ったほうがいい。
 (空間的な要素があるモノは「中に」がなくてもいい十分な場合がある)

※空間的な要素があるモノというのは、「車」「箱」「鞄」「ごみ箱」など


とりあえず、この2点でどうでしょうか。これはあくまで学習者に最初の段階で示すならば、と考えた説明です。

「中」であることを明示的にする必要がある場合には、「~の中に」にしたほうがいいと思いますが、それがどういうときなのか理解させるのは、次の段階でいいのではないでしょうか。

学習者も直感的に「空間的な要素があるモノ」と「『中』をつけること」の関係を考えるのではないでしょうか。そこであえて「モノなんだから、中を付けなければダメ!」とするのは、厳しすぎると思います。

上記の原則で合わないものが見つかったら、また検討したいと思います。

「~かける」「~かけだ」の用法

「~かける」について

「~かける」は、【動作や出来事の開始】、【動作を途中までした】、【動作をしようとしてやめた】などを表すものです。どの段階なのかは、時制や「~ている」の有無、動詞の種類などによって変わるようです。

(1)ケーキを食べかけたとき、玄関のチャイムがなった。(動作の開始時)

(2)読みかけている長編小説をゆっくり読みたい。(途中までした)

(3)彼女は何かを言いかけた。(動作をしようとしてやめた)

次のようなものもあります。あまり文法の本に記述されていないような…。これは【開始】や【途中】という説明で考えると、なんか変な感じがします。

(4)このラジカセは壊れかけている。

(5)彼の病気は治りかけているから、そろそろ退院できるだろう。

(6)死にかけの魚。

【一歩手前】かなと思いました。

いずれその状態(「壊れた」「治った」「死んだ」)に至る始まりのところという意味で【開始】なのかもしれません(じわじわ始まっている)。また、「ちょっと壊れた」から「完全に壊れた」までの間という意味で【途中】と言おうと思えば言えますね(笑)

変だと感じたので、「(1)~(3)のような継続動詞、(4)~(6)のような瞬間動詞で区分できるのか」と考えましたが、どちらも【開始】【途中】で一応は説明がつきそうなので、分ける必要はなさそうです。ただ、これらの表現がどんな状態を指しているのか、きちんと説明することが大切だと感じます。例えば、「死ぬ」ことの始まりや途中って何なのか…と。

「~かける」「~かけだ」「~かけのN」の関連

いろいろな動詞でテストしましたが、「~かける」は言えても、「~かけだ」「~かけのN」にはできないものが多かったです。

「~かけだ」は、『中上級を教える人のための文法ハンドブック』に書いてある以下のような説明で、だいたい良いかなと私は思います。

(ただ、『中上級を~』に「彼女はその本を読みかけだった」という動作主を主語にとって「~かけだ」を使っている例文が載っているのですが、それは私は「?」を付けたいと思いました。モノを主語にする文だけでいいんじゃないかな?)

・動作や出来事はすでに始まっていて、その「途中」を表す。
・「~かけだ」は動作主ではなく、モノを主語にとる。
・「~かけのN」は「~かけだ」に対応する形。

(7)このケーキは食べかけだ。/食べかけのケーキ

(8)宿題はやりかけだ。/やりかけの宿題

(9)このラジカセは壊れかけだ。/壊れかけのラジカセ

動作主不在で、モノの状態だけでいい場合に使えそうです。『中級日本語文法と教え方のポイント』にも、「名詞としての「~かけ」の場合は動作が途中までなされて、外観に途中までの状態が見られるのが普通」とあります。

他に言える例は、以下の通りです。

(10)「飲みかけのお茶」「読みかけの本」「書きかけの手紙」「作りかけの料理」「使いかけの口紅」「切りかけのトマト(微妙…?)」「洗いかけの皿」「吸いかけのタバコ」「死にかけの魚」「沈みかけの夕日」など。

「取れかけのボタン」もいいかな。でも、「ボタンが取れかけだ」が微妙…?

まだうまく説明できないことが多い

発端はノンネイティブの先生との話でした。動詞の性質から考える議論をしていたんですが、半日考えても、動詞の性質では説明しにくいと思いました。とりあえず、「~かける」と「~かけだ」の違いがわかったので、この記事はひとまず終わります。(^^ゞ

説明しにくいものはまだまだあります!

1)「落ちかける」「~落ちかけのN」の是非

(11)木からりんごが落ちかけている。/??落ちかけのりんご

(12)机から鉛筆が落ちかけている。/??落ちかけの鉛筆

(13)先月かけたパーマが落ちかけている。/落ちかけのパーマ

「死ぬ」や「壊れる」などが使えました。そこで、動詞の種類が同じ「落ちる」でも検討してみましたが、微妙でした!(笑)「落ちかけている」のほうは、まあ「開始」とも「途中」とも取れそうなので、だいたい大丈夫です。でも、「落ちかけの~」のほうは、「途中」の意味しか取れません。(13)の「パーマ」は「途中」(「パーマがかかっている」から「パーマが落ちた」まで)で説明ができそうですが、「りんご」「鉛筆」はどうでしょうか。(すみません…力尽きて、もう考えることを放棄しましたw)

2)開始を表す動詞と共起しにくい?

「~かけだ」と「~かけのN」を考えていたときに、

(14)飲み会は終わりかけだったが、参加した。/終わりかけの飲み会に参加した。

これはいいけれど、「始まる」は使えないかなと思いました。「開始」の意味だと二重になってしまうし、「途中」の意味ではどこを指しているのかよくわからないんです…。保留です。

様態「~そう」と否定表現

語末に「ない」がつく形容詞

否定の意味ではなく、語末に「ない」がつく形容詞は何があるでしょうか。学習者に聞かれたことがあります。『みんなの日本語』で探すと、以下の語が挙げられます。

「つまらない」「あぶない」「きたない」「すくない」

もう一つ、言うならば…「ない」です。

イ形容詞の否定表現+「~そう」(様態)

上記の学習者からの質問は、様態の「~そう」を教えていたときにありました。

a. あのケーキはおいしそうです。

b. このケーキはおいしくなさそうです。

教科書によっては、bのパターンが出てこないと思いますが、わりとよく使いますよね。「おいしい」の場合は、語末の「い」をとって、「おいし」+「そう」となります。ですが、「おいしくない」の場合は、「おいしく」のあとに、「~なさそう」をつけるようですね。教えないため、あまり形の作り方のルールが本に載っていませんね…。

なお、「おいしそうじゃないです」という言い方も可能です。こっちのほうがルールが単純なので、教えやすいでしょう。ただ、ニュアンスは若干異なります。

否定の意味ではないけれど、語末に「ない」がつく形容詞

冒頭であげた「つまらない」「あぶない」「きたない」「すくない」に戻ります。『みんなの日本語』には「つまらない」が出ていて、以下の例文eのようになっています。

c. (B級映画のポスターを見て)あの映画はつまらなそうです。

d. でも、こっちの映画はつまらなくなさそうです。

否定表現ではないので、「つまらない」の「い」を取って、「つまらな+そう」となります。通常のイ形容詞のルールと同じですね。「つまらなくない」にした場合も、問題ないですね。


まとめ:イ形容詞+様態「~そう」のルール

「Aい」 → 肯定 → 「い」をとる → 「A+そう」

「Aい」 → 否定 → 「Aく」の形 → 「Aく+なさそう」


「Vない」+「そう」=?

動詞の場合も見ておきましょう。窓の外を見ています。

e.  風が強いから、いまにも看板が倒れそうだ。

f. しっかり固定してあるから、看板は倒れそう{も・に・にも}ない

g. しっかり固定してあるから、看板は倒れなそうだ。

h. しっかり固定してあるから、看板は倒れなさそうだ。

gは特に問題ありません。f~hの表現も正解です。私が今まで見た教科書では、否定にする場合、よく登場していたのは、fのパターンが多かったと思います。助詞がいろいろあってわかりにくいんですが、「どれか1つのパターンをまず覚えよう」と言い、「~そうもない」の形にして教えていました。

gとhについては、最近はhのように「さ」を入れる傾向にあるようです。私自身、この部分に関しては揺れがあります。正直どっちも使っていると思います。みなさんはいかがですか。

ここで、動詞「ある」の否定形「ない」について見てみましょう。性質は形容詞と同じで、なんとなく厄介です。実際に例を見てみましょう。

i. 服も靴もボロボロだから、あの人はお金がなさそうだ。

j. 木しか見えない。あんな山奥に、人家なんてなさそうだ。

「ない」はgとhと同列に考えることができません。「ない」の場合、「お金がなそう」とは言えないからです。こちらは「さ」が入ったわけではないんです。動詞ですが、例外と言えるでしょう。やっぱり動詞の活用形とは言え、形容詞っぽいですね。

「つまらなそう」か「つまらなさそう」か

動詞については、「最近「さ」を入れる傾向にある」と言いましたが、形容詞のルール「Aく+なさそう」に近づいているからかもしれません。

気になるのが1点。「つまらない」に関しては、「さ」入れが許容されるように感じます。他の語末に「ない」がつく形容詞「少ない」「危ない」「汚い」では、「さ」入れはできません。

c. (B級映画のポスターを見て)あの映画はつまらなそうです。

k. (B級映画のポスターを見て)あの映画はつまらなそうです。

語源に関わることだと思います。形容詞として「つまらない」を見ていますが、もともとは動詞「つまる」の否定形ですよね。だから、「さ」入れもこれだけは可能なのでしょう。

文法と「死ぬ」という語:安易に使えないけど必要な理由

「死ぬ」って言葉はあまり使いたくない

親は子に「簡単に死ぬなんて言葉、使っちゃいけません」と言ってたしなめます。しかし、テレビ番組や映画からは「死ね!!」などの言葉が聞こえる日は少なくない…。「死ぬ」という言葉はあまり使わず、別の表現に言い換えたりします。「亡くなる」「あの世へ逝く」「ご逝去」などなど…。

しかし、日本語の教科書では、わりと初期に出てきます!!

1グループ(5段動詞)で「~ぬ」で終わる動詞って…

普通形を導入したり、その後の活用を練習するときに動詞が必要になります。例となる語を見て、書いて、言って、定着をはかるためです。それは至極当然のこと。

さて、1グループの動詞を列挙してみます。

聞く・書く…
泳ぐ・脱ぐ…
話す・貸す…
待つ・持つ…
死ぬ・  …Σ(´・ω・`)
呼ぶ・飛ぶ…
読む・踏む…
切る・知る…
買う・会う…

だいたい2つ以上の語がパパっと思い浮かびます。しかし、「~ぬ」はなかなか見つからない。(^ω^;)…というか、ない?!?!けれど、この「~ぬ」タイプを除くことはできません。動詞「死ぬ」と出会ったとき困るので…。

(´・д・) 活用のパターンは、「~む」「~ぶ」「~ぬ」は同じ!!と、例を出さずにくくってしまうことはやっぱり強行すぎますよね…。けど、結局「死ぬ」でしか「~ぬ」は練習できないのです。

*補足*

【ぬ 動詞】で検索すると、同じようなことを疑問に思う内容が出てきました。もう1つありました。「往ぬ(いぬ)」です(意味は「去る」)。これは古語です。現代語を扱う日本語教育においては、まず必要ありません。古語で「ナ行変格活用」というのがあり、「死ぬ」「往ぬ」が2語だけが該当します。「死ぬ」はそれが五段活用に収まり、「往ぬ」は使われなくなったのでしょう。そうすると、やっぱり「~ぬ」の動詞は「死ぬ」1語となりますね。

「死ぬ」と文法

割りと早い段階から「死ぬ」という不穏な語に接してしまうことになります。だから、教室での教師はピシッとせねばなりません!!(`・ω・´)

「死ぬ」と関係すると「文法的に正しいけど…」となる文法

・~てください 「死んでください」「死んで」
・~ませんか  「死にませんか」
・~ましょう  「死にましょう」
・命令形    「死ね」
・意志形    「死のう」

主に他者に働きかけたりするものですね。もちろん子どもたちに教えていたら、冒頭の母親のように注意するでしょう。いい大人に教えているときは、私からこれらの表現は言いませんが、学生が気づいて、冗談として練習中に言ってきた場合に、若干ニヤニヤしてしまいます。

「死んでください」が冗談だとわかっているなら、「そんなこと、言わないでください!!」と返して、さらに盛り上げます。別に教えることを推奨しているわけではありませんが、本気じゃないかどうかぐらい雰囲気から読み取れるかと思います。