「苦情」と「文句」

「苦情」と「文句」って何が違うんですか

中級で場面や能力別の内容を扱うと出て来る「苦情」。隣人トラブルで、苦情を言ったり言われたり、穏便に済ませるなどが課題です。その場面だけではつまらないので、友人や家族間で交わされる会話を扱おうとしました。互いの振る舞いに「文句」を言うというロールプレイです。そこで質問が出たという次第です。

辞書を見ますと次のような記述があります。『明鏡国語辞典』(大修館書店)より引用します。

くじょう【苦情】
他から受けた迷惑や害悪に対する不平不満の気持ち。また、それを表したことば。
「市民から苦情が出る」

もんく【文句】
1) 文章中の語句。「歌の文句」「名文句」
2) 相手に対する不平・不満などの言い分。苦情。「いちいち文句をつける」

もう一つ、『類語例解辞典』(小学館)も見てみました。<br><br>

【苦情/文句/クレーム】
[共通する意味]
受けた害、迷惑などに対して表す、不満や不平、怒りなど。(a complaint)

[使い分け]
1) 「苦情」は、周囲から受けた迷惑や購入した商品の不具合などに対する不満などをいい、比較的固い表現で用いられる。
2) 「文句」は、常に正当な理由があって主張されるものではなく、むしろ言いがかりに近い場合もある。
3) 「クレーム」は、商品取引で、取引相手の契約違反に対する賠償請求の意から、一般的な場合にも用いられる。

これで、大体の違いはわかってきました。

「お残しは許しまへんで」と言われた子どもは…

母:野菜は残さず食べなさい!
子:えー、だっておいしくないもん。
母:文句言ってないで、早く食べなさい!遅刻するよ!

ここで「苦情言ってないで」とはなりません(笑)

例文をいくつか作ってみました。「言いがかり」に近いものほど、「文句」がふさわしいですね。

a. 彼女は恋人に「どうしてすぐにメールの返事をくれないの?」と文句を言った。

b. 彼女は恋人に「どうしてすぐにメールの返事をくれないの?」と苦情を言った。×

c. (親が子どもに対して)文句言ってないで、部屋を片付けなさい。

d. (親が子どもに対して)苦情言ってないで、部屋を片付けなさい。×

メールの返事が来ないと理不尽に恋人に怒る彼女がいうのは「文句」。子どもが親のいうことに反抗してぶつくさ言うのも「文句」。

 

「お硬い文章」「確かに存在する迷惑・害」の場合は、「苦情」を使うほうがしっくりきます。守らないことによって、カラスが食い散らかしたりする「害」が発生しますね。

e. ゴミ捨ての時間を守らないという文句が市に多く寄せられています。(×)

f. ゴミ捨ての時間を守らないという苦情が市に多く寄せられています。

 

この例はどうなのでしょうか。

g. 上の階の人の足音が夜もうるさい。直接、文句を言うべきか、大家に頼むべきか。

h. 上の階の人の足音が夜もうるさい。直接、苦情を言うべきか、大家に頼むべきか。

どちらもOKですが、なんとなく「文句」は感情に任せた感じがしますが…。みなさんはどうでしょうか。やはり「文句」には、言いがかりという側面があるからでしょう。

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