談話練習・練習Cの流れ

導入やドリルが終わったあと、『みんなの日本語』で言えば練習Cを行うと思います。呼び方は学校や機関によっていろいろあると思いますが、ここでは「談話練習」と呼ぶことにします。

『みんなの日本語』の本冊の冒頭に以下のような記述があります。

練習Cは文型が実際にどのような場面、状況の中で、その機能を果たすかを学び、発話力につなぐための短い会話ドリルである。単にリピートするだけでなく、モデル文の代入肢を変えたり、内容を膨らませたり、さらには場面を展開させたりする練習を試みてほしい。

(;・∀・)言わんとすることはわかる…でも、どうやっていいのやら。

いろいろなやり方はあると思いますが、もうちょっと掘り下げてやってみたいですよね。先生方向けに模擬授業をやったので、それを含めて談話練習の方法を紹介したいと思います。

談話練習の位置づけ

談話練習の具体的な内容に入る前に、談話練習が授業のどの段階に位置するのかを明確にしておきます。『みんなの日本語』(=文型積み上げ式)のオーソドックスな流れに合わせると、次の位置になります。

導入→文型整理→ドリル・練習→談話練習

つまり、理解し、言い回しに慣れるところが終わって、「文脈の中で使える」ようにしましょうという段階です。「文脈の中で使える」…これが談話練習の目的です。それを踏まえて、進め方を見ていきたいと思います。

談話練習の基本的な流れ

『みんなの日本語』で言えば、練習Cということで進めていきますが、「談話練習=練習Cを使わなければならない」ということではありません。「使いにくい」「場面がわかりにくい」「目の前の学習者に合っていない」ということであれば、ぜひ自分で作ってください!

ただし、まだ自信が無い方、時間がない方、不精な方(笑)は、練習Cを使うとよいです。教科書にも絵がありますし、『みんなの日本語1 教え方の手引き2  教え方の手引き』に付属しているCD-ROMにも入っています。使えるものは使うという考えも良いのです!(^O^)

さて、基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 絵を提示して、場面を確認・説明する。
  2. 絵から会話内容を推測させる。
  3. モデル会話を提示する。話の進め方や表現の確認をしてから、リピートする。
  4. 2~3つの練習問題を行う。
  5. モデルをベースに会話を発展させる。
  6. 発表・フィードバック

くわしく見ていきます。

1)絵を提示して、場面を確認・説明する。

会話は唐突には始まりません。場面があって、初めて言いたいことや会話が発生します。ですから、まず場面の確認をします。

どこで話しているのか(職場?学校?道端?)、誰と誰が話しているのか(わたしと教師?上司?後輩?友達?知らない人?)、どんな状況なのか(雑談?依頼?断る?喜怒哀楽は?)などです。

絵を見せながら、学習者に問いかけてもいいですし、解説しても良いでしょう。

2)絵から会話内容を推測させる。

場面を理解したあと、練習Cの画像を見せます。冒頭の絵のような感じです。

ここで教科書は閉じておきます。なぜなら、絵から話を推測させるからです。

実際の会話では、自分で何を言うか考えて、自分が今言える言葉・表現で、自分の口から伝えていかなければなりません。答えなんて1つじゃありません。「自分で」という要素を授業にも取り入れなければ、「話せる」ようにはなりません。

また、会話はパッと言えることが重要なので、ここで長々と考える時間を与える必要はありません。わたしは1分しか与えません。テンポよく行きましょう!

その後、いくつかのペアに発表してもらいます。モデル通りでなくてもいいので、場面にあっていて、スムーズならそれで良しとしましょう。

3)モデル会話を提示する。話の進め方や表現の確認をしてから、リピートする。

(2)では、良いものもあれば、推測が及ばないものもあると思います。ですので、ここで一旦モデル会話を提示します。間違いのない流れを見せるためです。ただし、「これが絶対的に正しい」というふうには教師側も学習者側も思わないようにしなければなりません。(2)の活動が死にます!(笑)

学んだ文型を自然な流れでどう使うかを見せたり、話の進め方(前置きがある、最後にお礼を言う等)、フィラーやあいづち、応答、文末表現など会話ならではの要素を確認しましょう

それから、一度モデルをリピートします。会話が苦手な人はまず覚えることで、このあとの練習への安心感にも繋がりますが、「覚えなさい」とは言いません。口慣しをテンポよくしながら、染み込んでいく感じでやりましょう。

リピートも細かい段階を踏みます。

1.教師の発話に続いて、全員でA→B→A→B。
2.AとBに分けて、教師の発話に続いて各自担当箇所を言う。
3.教師の発話なしにして、思い出しながら各自担当箇所を言う。
4.隣の人と確認する。(2番で隣同士をAとBにしておくといい)
5.逆パートにして、2~4番を行う。

上にスライドのサンプルを載せましたが、1・2・4番は絵のみを示します。3番は、少しだけヒント(文の空欄)を与えながら、徐々に減らしてスムーズに言えるようにしていきます。どのくらいヒントを与えるかは学習者のレベルによって変えてみてください。注意する点は「読ませるのではない」ということです。思い出すための手助けであることを忘れないでください。

4)2~3つの練習問題を行う。

練習Cは例題以外の問題があります。初級1では3問、初級2では2問あります。

絵を見せて、会話を練習させましょう(文字は不要)。考えて言う必要はありますが、基本はモデルに合わせれば言えることです。ここはサラッと行いましょう。

私は各問に1分の制限時間を設けます。2問ある場合は、それぞれを1分で練習させたあとに、発表の時間を設けます。複雑なことはないので、全員の発表は不要です。そのかわり、机間巡視は1分の間にして、困っていないか、言えているかどうか見ましょう。

5)モデルをベースに会話を発展させる。

ここが一番大切です!ここに行くまでが長いと感じたかもしれませんが…(;・∀・)

「話せる」という実感を得てもらうのはここからです。会話はモデルのとおりに展開するわけではありません。話すことは自分で選んでいいのです。また、相手はどういう反応をするのか(共感する?嘲笑する?叱る?褒める?)、それはわかりません。

\(^o^)/モデルは言えても話せない!という学習者の叫びに対応しましょう。

では、発展の際にどういう活動が入れられるのか考えてみましょう。

単純にこの絵のように、一部空欄にして自由に言わせる方法もありますが、以下のようなやり方もあります。

・ロールカードを与えて、ロールプレイをする。
各自がロールカードに書いてある指示にしたがって、会話をする活動です。自分が言いたいことを、伝えられるようになります。また、話者の間に情報差があるので相手がどう言ってくるか、実際に会話をして合わせていかなければなりません。会話の終わり方もなあなあにしないように注意したいですね。

・練習問題の会話の前後を考えて、会話を続ける。
5W1Hを意識させて、話を掘り下げていけるようにします。話を上手に膨らませたり、相手の反応をみて、話していけるようにしたいですね。自分の話につなげていくのもアリでしょう。

・会話に分岐点を設ける。
例えば、「誘う」会話で、応じる・断わるといった分岐点があるものです。相手の反応を見て、どうするか次の一手を切り出します。ある程度、展開も予測できるので、難しくはないですが、結構いじわるなことをしてくる相手もいます(笑)

・場面や登場人物を変える。
上下関係や親疎関係を持たせて、文体や表現を変えながら話せるようにしていきます。内容は同じでも、相手によって対応を変えられることは、結構重要です。

・コミュニケーションストラテジーに触れる。
会話が上手くできない場合に、どういう対処ができるかを盛り込みます。わからない言葉が出たら言い換えてもらう、言われたことを聞き返して確認する、聞き取れなかったところをもう一度言ってもらうようお願いする等です。

一度の談話練習で、上記を全て盛り込むことは不可能ですし、必要ありませんし、時間もありません。練習Cの内容によっても、発展的な活動も限られてくるので、どれが使えるか考えてみてください。

発展のさせかたの例(第38課の練習C2)

わたしが模擬授業として行ったものをご紹介します。第38課の「~のを忘れました」の回で、会社帰りにやり忘れたことを思い出し、忘れた本人が会社へ戻るというのがモデル会話です。

まず、2つの展開パターンを提示し、そのとき何と言ったらいいか、答えてもらいました。「相手が一緒に戻ってくれるパターン」と「やり忘れたことが大変だからお願いするパターン」です。特に後者の場合は、お願いしたあとに分岐が生じます。軽く確認します。

次に、忘れたことが書いてあるカードを配ります。カードは練習Cに出てくるキューを3枚と、新しいキュー3枚と、自分で考える白紙カード2枚にしました。(実際に先生方にやってもらうと、白紙カードは難しかったとのことです。白紙カードの内容は事前にペアで書いたほうが良さそうです。(^_^;))

<忘れたことカード>
A:机の鍵をかけませんでした。
B:引き出しに書類をしまいませんでした。
C:パソコンの電源を切りませんでした。
D:資料を1000枚コピーしませんでした。
E:お金を金庫に入れませんでした。
F:今日、ベトナムにカタログを200冊送りませんでした。
G:(自分で考える)
H:(自分で考える)

カードを取って、忘れたことを見て、カードは置かせます(読ませないため)。そして、忘れたことを思い出して、会話を展開させます。相手役も反応をどうするか自分で選ぶように指示しておきます。この会話は終わらせ方は、一緒に行くか、別れるかだけなので、会話を収束させやすいですね。

ペア練習で慣れたあと、カードを数枚持って、いろいろな人と話す練習に移ります。ペア練習だけだと、毎回好きな展開でしか練習しない可能性があります。相手を変えることで、反応が予測できないので、より自然な会話に近づけて練習することができます。

以上です。できるだけ、話す回数を増やしたいと思って作りました。多人数クラスでも、限られた時間で発話量は増えるやり方かな~と思います。

6)発表・フィードバック

最後にモデル以上のいい会話を皆で確認し、「そういうのも言えるな~」と思わせましょう。決まったペアの自薦・他薦は問いません。いなければ、1人指名して、その人に相手役を選んでもらって発表というのもいいと思います。

以前、「発表中の会話を聞かない人がいる」ということを聞きました。それをなくすために、必ず会話を聞いてもらい、内容確認の質問をしてみましょう。上記の例では、「何をし忘れましたか」「2人はこのあとどうしますか」などの質問をしました。

また、フィードバックも教師からだけでなく、学習者から上げてもらってもいですね。良いところ、わからなかったところ、内容への感想など。細かい文法のミスよりも、会話として成立しているかも大切ですね。

「使える」を実感してもらう

談話練習の目的は最初に書いた通り「文脈の中で使えるようになる」ことです。

話すところをメインにしていますが、聞いてわかるというところも含まれています。会話では「話す」と「聞く」は同時に必要な技能ですよね。

私自身、少し前まではそんなに練習Cをうまく使えていなかったと思います。文字化しないと理解させられないと思っていたときもありましたが、「文字にして、果たして話せると言えるのか」という疑問もありました。いろいろな方法を知っていくうちに、話す方向に近づいていけたという感じです。

目的を見失わずに、授業をやりましょう。学習者が授業後に「話せた!」と感じられるようにしたいですね!( ̄▽ ̄)

聴解授業で教師ができること

聴解の授業を担当したことがありますか。教育機関によっては、独立した時間がないところもあるでしょう。国内では、日常生活でも日本語のインプットがありますが、海外では、聴解などの時間に意識的に行わないとインプット量が少ないと言われています。

私は聴解の授業について考えるのが好きです!(^o^)過去、メインの教科書に準拠した音源がないため、同僚と一緒に作成したこともあります。最近は素材作りまではしなくなりましたが…。そのとき、「聴解ってどうやって教えるのかな」といろいろ考えました。

聴解の授業の一般的な流れについての勉強会を行ったので、その備忘録を残したいと思います。ごくごくフツーのやり方を実際の問題を見ながら考えました。

さて、聴解の授業の「一般的な流れ」と書いたのは、教材の種類や、聞く目的によって、やり方は変わってくるからです。オーソドックスな教材としては、『みんなの日本語 聴解タスク』でしょうか。問題があって、会話等を聞いて、答えるものです。とりあえずコレを一般的な流れの教材としたいと思います。

本題に入る前に、聴解の授業として良くないパターンを紹介したいと思います。

意味のない授業パターン1:音源再生担当教師

(´∀`)「テキストを開いてください。はい。聞きましょう」 再生ボタン、ピッ!

(;・∀・)だれでもできます。学習者だけでもできます。教師の存在意義がありません。私はこれはやったことがありません…悲しすぎるからです(笑)

聴解をするとき、何があったら学習者は聞きやすくなるのでしょうか。日常生活を振り返ってみると、この例のようにいきなり音が入ってくるということはありません。周りの情報がある、知りたいことは決まっているなど、前提や状況があって、なにかを聞いています。教師がいるなら、その段階まで持っていけますよね~。

意味のない授業パターン2:文法解説から入っちゃう教師

(´∀`)(この文法、ちゃんと覚えているか怪しいから確認してから始めよう…)

すみません…( ;∀;)偉そうなことを書いていますが、私はコレをやっていた時代がありました。不安だったんですよ。出て来る文法がわからないと一切聞き取れないんじゃないかと。(今となっては懺悔したい…)

何が問題かというと、聴解の目的が結局「文法理解」になっているからです。文法知識を聞くために、日本語を聞いてるんじゃありません。聞き取りたいことがあるから聞いているんです。そこに文法知識が絡んでくることはゼロではありませんが、それをあえて解説してから入ることにあまり意味はありません。

なんのために聞くのか。「文法知識を聞く」のではなく、「内容を聞く」のです。

他にも意味のないパターンはあると思いますが、本題に入りましょう!(笑)

「聞く前」「聞いているとき」「聞いた後」の3ステップ

教師向けの本に書いてあることと、ほぼ同じです。「前作業」「本作業」「後作業」と言うこともありますが、この3ステップが踏めれば、流れとしては良いと思います。あとは、「教師はそこで何をするのか」「学習者にそこで何をしてほしいのか」を考えていくわけです。

1)聞く前:話題を導入する・聞く目的の確認

これから聞く内容に関する話題を学習者と共有します。「ダメパターン1」で触れたことですが、日常でいきなり聞くということはないのです。そのためにここで準備をしておきます。聞きとりたい状態に持っていく、関連する知識・情報を念頭に置いておく…そんなところでいいと思います。いわゆるスキーマの活性化というやつです。

自分が外国語を聞くときを考えてみてください。テストを除いて場面などが与えられているだけで、準備ができると思いませんか。「ファストフード店で注文している」と言われるだけでも、「何を注文しているか」「店員に何を聞かれるか」など、推測したり、言葉を思い出したり…心構えができます!(´∀`)b

次に、この問題では、どういう状況で何を聞くのか、「目的」を確認します。問題指示文でわかることもあります。

例えば、「一都六県の天気予報」を聞くとしたら、自分の住んでいるところだけを聞く、旅行で立ち寄る先の天気を聞くなどの目的があります。全部を聞くなんてことはしていないわけです。(;・∀・)いらん情報はポイッしないと、キャパ超えしてしまいますよね…。「これが聞ければOK」というところを確認しましょう。

2)聞いているとき:例題の確認・聞く回数の指示、机間巡視

聞く前のところにも入ってくると思いますが、「例題」を確認しましょう。解き方そのものを間違えるという残念なことの防止の意味もありますが、「これが聞ければOK」というのも例題から明示できます。

そして、何回聞くのか、途中ポーズがあるのかないのか、書く時間を取るのかなど、そのあたりも明確に指示しましょう。わたしは通常1回です。初めから「2回聞きましょう」というと、集中しない人もいるからです。(補足:聞かせる回数は扱う問題によっても変えています。重要なのは1回であることではなく、聞かせる回数を考えた上で明確に指示を出すということです。)

( ̄▽ ̄)ボタンポチー。ボケー。 ヽ(`Д´)ノ コラー!

学習者が解いている様子は机間巡視をして、様子を見ましょう。答えが書けているか、どこで答えが割れているか、メモを書いているか…見ているといろいろなことがわかります。答え合わせで丁寧に解説したほうがいいもの、サラッとやればよいものも取捨選択できます。

3)聞いた後:答え合わせ・内容の展開

( ̄▽ ̄)答えは1番A、2番B、3番A!(ドヤッ) ヽ(`Д´)ノ コラー!

答え合わせは学習者を指名するなどして、コミュニケーションを取りながら行いましょう。また、どうしてその答えになったのか、根拠も言わせてみましょう。「なんとなく」だったら、キーワードや流れも聞いてみると、理解度もわかるでしょう。問題で問われている箇所以外の内容も、簡単な質問(5W1H)で聞いてみても良いですね。

答えは割れるものです。割れたときの議論のヒートアップはいい傾向だと思っています!(^o^)「もう一回聞いて確認させてください!」っていう空気が好きです。大切にしたいですね!

答えがわからないということも起こってきます。会話が速すぎてみんながお手上げになるような…(;・∀・)三人(大勢?w)寄れば文殊の知恵!集合知を活かして、今わかっていることを把握してみましょう。そして、わからなかったところ・曖昧な箇所をもう一度聞いて確認します。闇雲に2回目を聞かせるのではなく、「わかっていること」「わかっていないこと」を整理して、そこに集中させてみましょう。

最後に余裕があれば、内容を発展させてみましょう。私はここでいろいろ考えさせて、話をふくらませるのが好きなんです!でも、実際はあまり時間の余裕がありません…(T_T)

先日、『みんなの日本語 聴解タスク』の36課を扱いました。内容は「女優の心がけていること」です。聞きとりはでき、絵は選べていても、「お茶でうがいをすることの意味」「目のために遠くを見ることの意味」を改めて聞いてみると、よく分かっていませんでした。逆に学習者からも「どうして手袋をして寝るのか」という問いもありました。こういうところで、意見交換させてみると、興味深い見解も出てきて、面白いと思うんですよね。字面(ここでは音ですが)の理解のその先も日本語で考えたいものです。

まとめ

1つ1つの授業は上記のポイントを押さえていけばいいと思います。

教師の存在意義ですが…教師は「聞いて理解する過程を助ける」存在であれば良いと思います(これは国際交流基金の『聞くことを教える』に書いてあり、受け売りですw)。「過程を助ける」というのがミソです!というのは、1から10まで与えてほしいとは思っていないからです。全部与えず、必要最低限の手当てをするというイメージであってほしいです。

外国語を聞いて理解することはなかなか大変です。それが問題なく行えるようになる「過程」をまずは助けましょう。それが、3ステップです!そして、いつかは学習者が現実世界で一人で問題無く聞けるように…。

今回は「一般的な流れ」を意識して3ステップとしました。冒頭でも述べたとおり、聴解の教材はいろいろな物があり、それぞれに目的が異なります。また、JLPT対策ともなれば、またやり方も変わってきます。ですので、ここでご紹介したやり方を全ての教材・授業に当てはめないようご注意ください。

余談

「聞く前」の話題導入を考えるのが難しい、実際やってみたら上手くいかなかったということはフツーにあります!( ̄▽ ̄)あはは。笑ってる場合か!と突っ込まれそうですが、徐々にコツは掴めてくると思います。

『聴解タスク』36課には「プールで注意を受ける」という話が出てきますが、ベトナムの学習者の多くが、泳げない・プールに行ったことがないという状態です!これは1年目で知って、驚愕!(・o・)3年目の今だからこそ、それをネタにしつつ、導入に持っていくこともできました。

教えた経験は徐々に活かせるようになります。(^O^)

日本語教師としての異文化の捉え方

無意識のステレオタイプ

最初に自分で気づいたのは、国の導入でなぜか「アメリカ」を入れていたことでした。アメリカ人なんていないのに…。身近な外国というと、アメリカから始まって、ヨーロッパ諸国と近隣アジアぐらいで「なんとなく馴染みがある」から扱っていました。

でも、教える年数が増えるにつれて、「アメリカ」が必要なのは『みんなの日本語』のミラーさんぐらいで、私が教える場では、あまり提示しないほうがいいと気づきました。日本とアメリカは接点が多いのですが、他国とアメリカの関係はそれほど重要でなかったり、あまり仲良くなかったりしました。

特定の国に対する偏った見方は長い人生の中で根付いてしまうことは仕方のないことです。しかしながら、日本語教師としては、そこで一歩引いて各国に対する自分の認識を捉えなければならないと思います。与える例文や言葉の端々に、偏見が含まれてしまうおそれがあるからです。それを聞いた学習者に変なステレオタイプを植え付けたり、学習者自身を傷つけてしまうことも考えられます。それは教育者としてよろしくないでしょう。

「○○人学習者ってどう?」という問い

いろいろな国で教えてくると、この質問をされるんですが、本当は答えたくないと思っています。半分は模範解答的なものがいまいちわかっていない、自分の鈍感さも関係しているんですが…(笑)

「○○人学習者は、~だ」というと、他の教師にあらぬ偏見を与えかねないな~と思うのです。たまたま見てきた学習者を一般化できるほど知っているのか、という疑問が浮かびます。

結局、私が見ているのは個々の学習者であって、○○人ではないのです。「○○人は勤勉だ」とか言ったって、どうしようもない落ちこぼれもいますしね(笑)

異文化接触の最前線にいるということ

日本語教師は多国籍の人々と接することが普通の人より多いです。自分自身が無意識に持っている固定観念や偏見を客観的に捉えておく必要があると思います。

個人的に特定の文化に対して、好き・嫌いというのはあるとは思います。わたしもあえて言いませんけど、苦手だと感じるものはあります。ただ、教師として、それを他人や学習者に見える形にするのはよくないと思っています。教育者はやはり平等に・客観的に物事を捉える目を意識して持たねばならないでしょう。

学習者の発言の中にも思わぬステレオタイプがあったりしますが、それをたしなめることもたまにあります。声高に差別や偏見をやめろと言ったりはしませんが、「それを聞いて嫌だと思う人もいる」ということは常に意識しないといけませんね。異文化に限らず、性別や容姿の話もです。

とはいえ、一見「貶している」と見えることが、ある文化では「親しみを込めている」場合もあるのです。日本で「そんなこと言うもんじゃないよ!」と思っても、ある文化では「むしろ言ったほうがいい」なんてことはあるのです。こういう現象を目の当たりにするのが、日本語教師の仕事の面白いところです。(^o^)

作成した問題は自分で解こう

自分で作ったテスト、解いていますか

わたしは凝り性なところがあって、テストのレイアウト、余白、配置、文字サイズなどにうるさいです。(もちろん内容もちゃんとしていなきゃだめです!(笑))

そういうわけで、作成したテストは必ず印刷して、数回校正を行います。面倒なんですけど、テストは正確な能力の測定のためにあるべきなので、やるしかありません!

他人の作った物を見たことがありますか。授業見学の際に見た配布物、非母語話者教師が作ったテストのネイティブチェック、放置されていたプリントなどなど、いろいろと人のものを見て、思うんですが、「実際にやってみたのか」と思うことがあります。

記述スペースの狭さや広すぎなもの、問題指示文がわかりにくいもの・不足しているもの、単純な誤字脱字、主述関係のねじれ、絵が見にくい…一度解いてみれば気がつくものもあります!(#・∀・)

でも、解いていないので気づいていないのでしょう。\(^o^)/

やる側の立場から考える視点

宿題やテストの目的とそれにあった出題内容が大切なのはもちろんです。それをチェックするためにも、一度やってみることが重要です。

助詞の問題でも「答えが2つある」なんてことはよくあります。教師が「A」と答える問題を作っても、学習者は「AもBもいい」とか「Bだろう」とか、いろいろと考えるわけです。結局、Bと答えたら、間違いではないから良しとしてしまいます。ただ、本当に問いたかったことが問えないものだとあとから気づくのです。それだと、出題する意味がありません。

自由記述の問題の場合も、教師が意図した答えと違うことを書いてくるかもしれません。想定より記述量が少なかったり、逆にたくさん書きすぎたり、解答欄の幅が適切かどうかが、こういうところにも関わってきます。

実際に解くことによって、やる側(学習者側)のやりそうなことが想像できます。間違えやすい問題ばかり出しすぎていないか、易から難になっていたほうがいいんじゃないか、こういう誤答が出るんじゃないか、この使い方は説明していない用法だ…などなどいろんなことに気が付きます。

「やる側の視点を持つ」というのは、テストやその模範解答、宿題作成だけに限らず、授業や教えること全般に関わる大切な要素だと思います!なにかと自分が想定したとおりにことが運ぶことを考えてしまうんですが、現実はそうはいかないのです。だから、学習者の立場から見て、「こういうふうに考えるんじゃないか」「こういうところで間違える」など考えることは非常に有意義です。

それでも「なんじゃこりゃ~!(゜o゜;)」という答えが出るのが世の常です(笑)それが語学教師の楽しみでもありますね。(^o^)

学習者に何を「入れる」のか

使いたくない言葉:「~を入れる」

「今日の授業で可能形を入れたけど、まだ定着していない」

「その言葉は昨日入れました」

「Xを入れる」という言葉をよく聞くようになりました。今となっては、業界用語なのだと思って聞いていますが、わたしは使いません。実は過去に使っている人と出会ったことがありませんでした。

以前見かけたツイート

Twitterで以下のツイートを見ました。これを見たのが先で、「こんな言い方するのか。ほ~。」と思ったものです。

このツイートを読んでいたこともあって、実際に聞いた際には、ぞわっとしました(笑)。教師の潜在的な意識は、知らず知らずのうちに身についてしまうものかもしれません。想像ですが、教師養成のセンセが使っていらっしゃって、それが受講生に影響しているのではないかな…。

業界用語と見なして、他人にアレコレ言わないようにしていますが、もし自分が後身を育てる立場になったら、使わせたくないなと思っています。語学教師である以上、やはり1つ1つの言葉遣いには気をつけないと…。

代わりにどういう用語を使うかと聞かれても、特別なものなんてありません。「可能形を扱いましたが、まだ定着していません」「その言葉は昨日教えました」で十分です。